平成24年5月11日に、第53回社会保障審議会医療保険部会が開催されました。本部会の委員は大学教授、保険者側、医療系団体の代表、市民団体の代表など、22名で構成されています。当会の武久会長も委員として出席致しました。

　今回の部会は前回に続き、審査支払基金のあり方についての審議から始まりました。平成21年に行われた事業仕分けにおいて、「国保連・支払基金の統合」が評決結果を受けました。その目的は審査の効率化を図り、医療費を削減するためとなっていますが、統合によるメリット、デメリットが明確にされていないなど、統合のための判断材料はまだ示されておりません。武久会長は、審査支払基金の統一に関する議論をすすめるのであれば、並行して健康保険の統一についても審議をすすめるべきではないか、との発言を致しました。全保険者を対象に実施された統合に関するアンケートを見ますと、今の段階では統合について、はっきりとした意見を言える状況には至っていない様子も浮き彫りになっていました。

　審議の後半は、柔道整復療養費等の問題について意見が交わされました。柔道整復、はり・きゅう、あん摩、マッサージ、指圧に係る療養費は増加の一方にありますが、全国的に平均されているわけではなく、都道府県間で請求部位数、施術期間・回数などに大きな開きがあります。このデータからは、本来の目的である施術が行われているのか疑わざるを得ません。武久会長は、はり・きゅうの施術については、「医師による適当な治療手段がないもの」が支給対象になっている等、これらの施術の支給の基準が厳格に守られるようにしていくべき、必要以上の施術を患者に促すような声かけをしている場合もあると考えられ、審査体制の見直しが必要、と述べました。

　国民皆保険を守り、適切な医療がすべての国民に満遍なくいきわたるようにするには、財源面でも、本当に無駄な箇所を削り、必要とする箇所にまわしていくようにしなければなりません。慢性期医療の対象となる国民への医療が不足なく提供できるよう、引き続き議論してまいります。